お急ぎの方は,最後のまとめをチェックしてね!
糖尿病の発症;生活習慣と遺伝
私がスイーツを食べる時も,インスリンを無駄遣いして少しずつ膵β細胞は減っているのかな…
糖尿病は生活習慣の悪化による発症が多いけど,遺伝的に膵β細胞が少ないことも原因や背景因子になりうるよ.
ただし,2型糖尿病はあくまでも除外診断だ.下図を見てね.
糖尿病の分類
例えば,1型糖尿病や膵疾患(悪性腫瘍や慢性膵炎など),内分泌疾患,薬剤性などは除外すべき頻度の多い疾患だね.どれにも該当しないものを「2型糖尿病」と除外診断している.
インスリンが高度に欠乏している場合,血糖値が上昇する一方,細胞内飢餓(細胞内に栄養が届かない)が生じる.
みぎ上図はレオナルド トンプソンという1型糖尿病を発症した14歳少年のインスリン投与前,投与後3ヶ月の写真だよ.
インスリン開発前は,少しでも長生きさせるために,1型糖尿病の治療として「飢餓療法」が行われていた.それは,当たり前だけど決して「療法」と言えるようなものではなかった.
彼は1935年に残念ながら気管支肺炎で短い人生を終えた.献体は,全身にアテローム性動脈硬化を認めていたそうだ.彼の膵臓はホルマリン保存され,現在もトロント病理学博物館に保管されているよ.
インスリン分泌不全とインスリン抵抗性
そして,インスリン分泌不全を伴う糖尿病に対しては,膵島移植を除いてインスリン以外の治療方法はない.
インスリンの発見から100年と少し経った今でも,インスリンは糖尿病の第一線級の治療方法だね.
インスリン抵抗性と糖の流れ
骨格筋量の減少は加齢や運動不足のみならず様々な疾患(神経疾患,筋疾患,薬剤性)で生じるよ.
どの臓器でのインスリン抵抗性が主病態なのかは,脂肪肝や内臓脂肪,骨格筋量・筋力の確認を行うことで推察するよ.
ただし,このようなインスリン抵抗性があったとしても,この抵抗性を乗り越える程に潤沢な内因性インスリン分泌能がある場合には,糖尿病を発症しないことも覚えておこう.
糖毒性;高血糖→インスリン分泌不全→高血糖
「糖毒性」の状態になると,膵β細胞に過剰な負荷がかかることで,細胞死を起こしたり,一時的な機能低下の状態となる.すなわち,「インスリン分泌不全の病態が加わる」ということだね.
この負のループを断ち切るには,残念ながらインスリン治療しかないよ.
インスリン治療により血糖値コントロールが良好な状態を維持すると,「糖毒性」が解除され,また膵β細胞が元気にインスリン分泌を再開し,およそ3ヶ月程度で急にインスリン治療が必要なくなることがあるよ.
でも先生,インスリン治療を終了できる人と,継続が必要な人の違いは何ですか?
ただし,内因性インスリン分泌が残存していても,糖毒性を解除できないと,膵β細胞が職場復帰することはないよ.
まとめ
約20年かけて膵β細胞数が半分になり,糖尿病を発症.
2型糖尿病:生活習慣50%,遺伝50%を原因として発症(除外診断)
糖尿病には,インスリン分泌不全とインスリン抵抗性の2病態がある.
糖毒性:抵抗性→高血糖→分泌不全→高血糖→分泌不全の負のループ
糖毒性解除にはインスリン治療と良好な血糖コントロールが必要.
参考文献)第8版 糖尿病専門医研修ガイドブック,第12版 朝倉内科学.