お急ぎの方は,最後のまとめをチェックしてね!
最後は治療についてだよ.
治療の三本柱 ;食事療法>運動療法>>>薬物療法
薬物療法については現在,8種類の糖尿病薬が存在している.1つ1つの糖尿病薬については,また別の機会に解説するとして,今回はインスリンについて解説するよ.
超速効型インスリンと持効型インスリン
炭水化物(糖質)を処理するために追加分泌を行うんですね.
デメリットとしては,タンパク質や脂質の緩やかな血糖上昇に十分に対応できず,食後3時間から徐々に高血糖を作る可能性がある.詳しいことはまた別の機会に.
低血糖とは?
上図のように,血糖値が低下するにつれ,症状が出現し,低血糖による意識障害が4時間持続した場合には,脳に不可逆なダメージが残ると言われている.
インスリンなどの注射製剤を使用している場合には,病院から血糖測定器の貸し出しがあるはずだから,血糖値を測る方法も習得していると思う.
例えば,動悸が出現して「低血糖かな?」と思っても,ブドウ糖をどれだけ食べても動悸が改善しない場合には,低血糖ではない原因があるかもしれない.
血糖コントロール目標;HbA1cとは?
糖尿病教室#1. で学んだように血糖測定器を持っている人は,食前血糖値 100〜130 mg/dL,食後2時間血糖値<180 mg/dL未満を目標にするといいよ.
一方で,血糖測定器を持っていない人は,日常生活の中では血糖値がどうなっているのか全く分からないということになる.
赤血球の寿命は120日間だから,Hbも120日間に渡って血管内を回遊し,糖とぶつかり続けるよ.
合併症の進行を防ぐため,HbA1c<7%を目標にしよう.ただ,この目標は絶対ではないよ.糖尿病合併症は血糖コントロールが悪くても5,10,15年という非常にゆっくりとしたペースで進行する.事情があって治療強化が難しい場合や,あと1〜2年だけ生きればいいという場合には,HbA1c<7%という目標は当てはまらない.
逆に,若年で発症してこれから長く糖尿病と付き合う必要がある場合や,妊娠出産時などには,HbA1c<7%より厳格なコントロールが必要になる場合があるよ.個人の置かれた状況や人生観によって目標は異なる.個別の目標については主治医と相談しよう.
人生には様々なイベントがあって,血糖コントロールに気持ちが向かない時や,血糖コントロールを含めた日常生活を犠牲にしても立ち止まって努力すべき時や,血糖コントロールを忘れて楽しく過ごせる瞬間もあるかもしれない.それは人生を送る中で,必要な時間だ.
大切なのは,常に100点が必要なのではなく,人生と共に血糖コントロールがあると思って,うまく継続して付き合っていくことだと僕は思うよ.
まとめ
糖尿病治療の優先順位:食事療法>運動療法>>>薬物療法
膵β細胞から分泌されるインスリンには基礎分泌と追加分泌がある.
持効型インスリン:基礎分泌を補う.24時間効果が持続.
超速効型インスリン:追加分泌を補う.3〜4時間効果が持続.
低血糖 血糖値<70 mg/dL
「低血糖かな?」と思ったら補食して,症状が改善するか確認.
HbA1c・・・過去1,2ヶ月の血糖コントロールを反映.
合併症予防にはHbA1c<7%を目標にし,個別の目標は要相談.
第8版 糖尿病専門医研修ガイドブック,第12版 朝倉内科学.